不安神経症の治療時に用いられる『精神療法』とは?

代表的な精神疾患である「不安神経症」は、病院での薬物治療だけでは簡単に治らないことが多いと言われています。

これは、精神疾患を引き起こしてしまう「性格的な要因」や、「過去のトラウマ」「認知の歪み」など、自ら作り出してしまうストレスに対しては薬物治療だけで対処することが難しいためです。

不安神経症に対して薬物を用いない治療方法を「心理療法」や「精神療法」と呼び、多くの精神科医療の現場で役立てられています。

精神療法の種類と特徴

現在、不安神経症に有効だと認められている精神療法にはいくつかの種類があり、「認知療法」「行動療法」「森田療法」などが有名です。

認知療法

不安神経症の人は自分の考えの中から、また物事の捉え方の歪みからストレスを生み出しています。

同じ境遇、経験をしても不安神経症の人とそうでない人は価値観が違い、それを「認知の違い」といいます。

たとえば、何か仕事を任されたときに不安神経症の人は「失敗したらどうしよう」「私を困らせるためにこんな仕事を押し付けたのでは?」といったような負の感情を抱いてしまいますが、そうでない人なら「これをやり遂げれば凄い実績になるぞ!」「私は上司に期待されているのだ!」というプラス思考を持ちます。

この差は非常に大きく、それは”ストレスの有無”という形で現れます。もちろんマイナス思考の人に多くストレスが発生することはいうまでもありません。

「認知療法」は、こういった捉え方の違いを専門的なノウハウを持った医師やカウンセラーと面談しながら一つずつ置き換えていく治療法のことです。

治療効果が現れる期間は症状やペースによって変わってきますが、半年から数年といった比較的長い時間が必要になることもあるようです。

行動療法

不安神経症を患った方の頭を悩ませるものの一つとして、「社会生活への復帰」というものがあります。

常に感じる不安や緊張のために出社拒否になったり引きこもったりすれば、本人だけでなく家族全体の悩み事になってしまいます。

「行動療法」は、不安神経症の原因から治療を試みる認知治療法とは違い、行動そのものに対しての苦手意識や嫌悪感、恐怖感といったものを取り去り「社会復帰」させることに重点をおいた治療法です。

患者の神経症の状態をしっかりと観察しながら、最初は難度の低いディスカッションや芸術に触れながら団体行動に慣れさせ、次第に高度なチーム作業へと以降していきます。

パニック障害や特定の場所に嫌悪してしまう「広場恐怖症」に対しても有効な治療法であり、前述の認知療法と合わせて行い「認知行動療法」とよばれることもあります。

森田療法

森田療法は、大正時代の日本の精神科医、森田正馬医師が発案した、日本初の精神療法です。

当時の不安神経症やうつ病患者に対して大きな貢献をしたことで、世界的に知られた精神療法が「森田療法」です。

数十年経った現在も指導者が各地で活躍しており、「認知療法」と「行動療法」を併せたようなスタイルで、合宿生活によって治療が行われることもあります。

自分でできる精神療法(自律訓練法)

薬を使わず治療する精神治療の中には、専門医にかからなくとも自分できるものもあります。

それが自己暗示を利用した「自律訓練法」です。

1930年代にドイツの医師シュルツが考案した方法ですが、今なお効果の高さが認められています。

器具や薬も使わず、すべてを自分で行うことができ、不安神経症・うつ病・不眠症・自律神経失調症などの精神疾患に改善効果が期待できる方法です。

自律訓練法の特徴

自律訓練法は「全身をリラックスさせる」ことに意識を向けます。

人の心がリラックス状態になると、筋肉がゆるみ、手足が重く感じ、また筋肉の硬直がなくなることで血流が上昇して体温が高まります。

自律訓練法は、この人間の特性の「逆」を利用した方法で「自己暗示」を利用していきます。

  • 手足に重みを感じることでリラックスする
  • 体の各部位に熱を感じることで血流が上昇して筋肉の硬直が治まる

と言った具合です。

自律訓練法のやり方

つぎに、自律訓練法のやり方を解説します。

  1. 仰向けに寝てリラックスし、心の中でも「自分は今リラックスしている」と唱える
  2. 両手両足を片方づつ「右手が重くなった・・左足が重くなった」と唱えながら意識し、重さを感じたらすぐに力を抜く
  3. 今度は前項と同じように片手、片足づつ「右足が熱くなった・・左足が熱くなった」と唱えながら順番に意識してから力を抜く
  4. 今度は「お腹が熱くなった」と唱えながら熱を感じるようにする
  5. 最後に「おでこが涼しい」と唱えがら、おでこに涼しさを感じる

各動作の合間に深呼吸をはさみ、それを自己暗示の「消去動作」とします。

各項の動作を30秒間かけながらゆっくりと実践すると、徐々に全身がリラックスしていくはずです。

「自律訓練法」は、不安神経症の直接原因である心身の緊張感をとることで、症状の改善につながります。

薬物治療の副作用や依存が心配な場合は、こういった方法とともに、サプリメントや漢方を同時に取り入れる方も多いようです。

不安神経症の症状を克服する際に活用したいサプリメント

【この記事のまとめ】

  • 認知療法は不安神経症患者の認知の捉え方を矯正していく精神療法
  • 行動療法は苦手意識や嫌悪感を取り去り、社会復帰につなげる精神療法
  • 森田療法は日本発症の精神療法
  • 自律訓練法は全身をリラックスできるセルフケア


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